第5章 幼なじみの恋 #side雅紀
「あの子、美人だし…
英語の成績もいいの…センセ、時々ね、見つめてるんだもん」
「うん…」
「それ…に…」
突然、自分の髪に触れて、指に絡めた
「私、くせっ毛だし…
ちょっと茶色いし…」
の昔っからのコンプレックス
そか…恋敵のあの子は、サラサラのストレート
綺麗な黒髪だっけ…
「ふぇ…ぐずっ…」
「あぁ…鼻出てんぞ!
すげーブサイク!」
「別にいいもっ…
雅紀に見られたっ…て…」
櫻井先生の前でも、
今まで好きになった男の前でも、
そんな顔、
見せた事ないんでしょ?
お前、黙ってたら、
案外可愛いもんな……
けどさ…
左手を伸ばして、
の頭をぐしゃぐしゃ撫でた
「オレは、くせっ毛の子好きだよ!
何か猫みたくて」
「やっ…ぐちゃぐちゃ!
雅紀に言われても嬉しくないし!」
「なんだよそれ!お前、本当に可愛くねえな!」
結構…傷ついてんだけど…
オレはさ?
お前のその、ブサイクな顔も、憎まれ口も、
茶色いくせっ毛も
全部ひっくるめて、
好きだって…
言ってんだよ…
「お前ら、うるさい!
隣に具合悪い奴寝てるから!」
知らぬ間に、そこには松本先生が立っていて…
オレらを、睨みつけた
「え?隣のベッド、人いたの?
…スミマセン、ちょっと腹が…」
「ふぅん…もぅ…大丈夫みたいだな?授業、戻れんな?」
「はい…行くぞ」
泣き顔を隠して、俯いたままのの手を引いて…
静かなままの廊下を歩き出す
「えっと…なんだ…
最終手段は、櫻井先生は委員長が好きなんでしょって脅せばいいじゃん」
「サイテー」
「バーカ、最終手段だよ」
小さな頃に繋いだ手
久しぶりだって…
お前は、意識しないよな…
オレの手にすっぽりおさまるの
お前は、やっぱ可愛いよ
誰も気づいてくれなくても、
オレは知ってるよ