第6章 先輩と後輩 #sideニノ
バタンとドアが閉まって…途端に静かになる。
すると…仕切りのカーテンが少し開いて、松本先生が顔を覗かせた。
「二宮、大丈夫か?」
慌てて背中を向けて、丸まった
「……寝てんのか?
なら良かった。痴話喧嘩されたら大変」
松本先生の意味深なセリフに、すかさず反応
クルリと体を反転させて、
カーテンから顔を出すと 松本先生の背中に声を掛けた
「今の、どーゆー意味ですか?」
「あ…起きてんじゃん」
向き合った松本先生を、立場を無視して睨んでしまう。
「だって。相葉って…
二宮の彼氏なんだろ?」
ニヤニヤ笑う、教師らしからぬ態度に苛つく。
「あれは相葉先輩のっ」
「わりぃイヤさ?
ホントだったら面白いなって…」
「面白いって…」
オレが睨んでも、全く動じる様子はない。
笑いながら机に座って、名簿越しにまだニヤついてる。
「いやね~保健室から、野球部の練習、よーく見えんのよ」
「……」
何を言いたいんだ…この人は。
「頭痛いんだろ?
邪魔しねぇから、寝とけ」
何かヤケに居心地悪くって、カーテンの中に引っ込む。
毛布を頭まで被って目を閉じた。
いつもニコニコ笑って、ふざけてる相葉先輩
一度だけ、見てしまった。
たまたま通りかかった渡り廊下
相葉先輩が見えて、挨拶しとかないとな…って…
声を掛け…かけて、止めた。
あの先輩が。
切ない顔で何かを見てて…思わず、視線を辿る。
確か……先輩の幼なじみだったっけ…?
彼女が…櫻井先生といるのを見つめてて…
今にも泣きそうな顔してる。
あの相葉先輩が、こんな顔すんだって驚いたのと同時に……
モヤモヤした気持ちが芽生えてた。