第3章 先輩と後輩#sideニノ
「何してんだよ!」
ガラリと勢い良く開いたドア
みんなの視線が集中
「雅紀、何だよ」
「遊んでるだけだって」
「あい…ば…先、輩?」
ズカズカとオレらのとこまで歩いてくると、 とんでもない事を口走った。
「コイツはオレんだからダメ!
ちゃんと男だったからダイジョウブ!」
意味ありげな言い方に、
オレの腕を掴んでた先輩まで動揺する。
「え、雅紀って…そうなの?」
「実はぁ、そうなの。内緒にしてたけどぉ。
何なら、お前らもオレと」
気持ち悪い笑顔で腕を伸ばして、唇を突き出してる
「いや、うん…俺らは、遠慮しとくわ」
タジタジで、…逃げるように、先輩達は部室から飛び出した。
「2度と手え出すなよ~
オレんだからな〜」
取り残されたオレに
相葉先輩の満面の笑みが向けられる。
「な…なんすか…」
「危なかったね!
コレで大丈夫だね」
「は…?」
「偶然、忘れ物取りに 来て良かったよ~。
あ!お礼とかいいから~気にしないで!」
ウインクらしき目線を送ってきてさ…まじ怖ぇよ。
いやいや…違うでしょ!
今ので何が、大丈夫なワケ?
その日からオレは。
『野球部3年の相葉のオトコ』
だと噂されたのは言うまでもなく…
呆れることに相葉先輩は、
『マジでヤッタの?』 っつー、デリカシのーない質問にまで、『ひゃっひゃ…知りたい?内緒!』なんて。
もぅ、完全バカでしょ。
先輩だけど、いつも呼ぶ時、相葉(か)先輩」と
心ん中で付け加えてた。
なのに、そんな先輩の意外な一面を見て。
オレは、初めて…知ったんだよね。
特別な気持ちを…