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サクラ咲ケ

第27章 そして卒業 # side雅紀








やっべー!まじでやばい!


グラウンドを横切って、中庭を抜けて…
校舎に入ると、階段を駆け上がった。


教室に飛び込むと…
予想通りの顔で、がいた。





泣きはらした赤い瞳。


机に伏せてたのか、グシャグシャの前髪。


目が合った途端、怖い顔で睨んできた。





「嘘つき!待ってるって言ったじゃん!」

「ごめん!
野球部に顔出してた」




両手を合わせて謝るのに

プイッとそっぽ向いて…こっちを見てくんない。




「知らない!」

「ちゃーん?」




頬杖ついたまま、窓を見つめて
なかなかオレを見ようとしないのは




……わかってるよ、ちゃんと。


右手を伸ばして、の頭に触れた。




ワザと乱暴に撫でんの。

あんまり優しくすると、は逆に困っちゃうでしょ。




だから、どんな時もいつも通りにすんの。







「オレのせいだわ」




声を出さないよう泣いてたが、オレを見る





「なんのこと…」

「その…オレが…」




口ごもったオレに、
やっと振り返ったの目は、やっぱ潤んでて…






「オレ振られたらいいって思ったんだ」




が覚悟したみたいに、オレもね…決めてたの。



の想いが伝わって…
待ち合わせた教室に居なかったら



オレは、ただの幼なじみで一生いてやる。



でも、振られて泣いてたら気持ちを伝えようって…。


ずっとずっと言えなかった気持ちを…


素直に言おうって…決めてたんだ。






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