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サクラ咲ケ

第26章 そして卒業 #sideニノ






『記念写真だって!
監督がみんなで撮ろうって!』




しばらくふざけあった後、バックネットを背にそれぞれがポーズを取った。



監督がカメラマンになって…パシャパシャ撮りまくって



次は当たり前の流れで、
監督も一緒に撮りましょうってなった。



だから、「オレ!撮ります」
監督を中心に撮影を再開して…



何度か笑いながらシャッターを押した。




今日で、本当に最後か。




「ニノ、オレら卒業しても頑張れよ。お前センスあるから!」


相葉先輩が笑いながら話してくれるけど。

やっぱり苦しい。


そう思ったら…




「先輩…好きです」




…想いが溢れた。

言ってしまって、我に帰る。




怖くなって、相葉先輩と目が合わせられない。





「うん!オレも好きだよ」

「えっ」




見上げた先輩は、優しい笑顔で。




「オレも!野球すげぇ好き」

「…野球」

「ニノさえ良かったらさ?オレのグローブ使ってくれる?」





手渡されたグローブを受け取って…

表情が崩れないよう、小さく息を吐いた。




「ありがとうございます。あの、また遊びに来て下さいね」

「うん!来るよ絶対

…あ、オレ行かなきゃ」




校舎の時計台を見上げて急に慌て出してる。


…きっと、あの鈍感な幼なじみんとこ行くんだね。




「頑張って下さいね…いろいろ」

「…ん?…ニノもね。
野球もだけど、彼女つくんなよ」

「先輩に言われたくないですよ」




本当に…

誰のせいで、出来ないと思ってんですか。

オレ、"相葉先輩の男"なんですよ。




遠ざかる背中が一度振り返って、大きく手を振った。


相変わらず、ガキみてーな笑顔。






心ん中のファインダーが先輩を捉えて


レンズ代わりのオレの目は


瞬きをする度に
その笑顔を焼き付ける。




「先輩…卒業、おめでとうございます」





オレはまだ…

先輩から卒業出来そうにないけど。




貰ったグローブを見つめて

今度会った時、突っ込んでやろうと密かに笑いが込み上げる。






「オレが左利きだって忘れてんすかね…あの人は」







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