第26章 そして卒業 #sideニノ
卒業式が終わって…
当たり前のように
野球部の先輩達はグラウンドに集まってきて
オレ達も、先輩を見送ろうって集まった。
サプライズプレゼントに
メッセージを寄せたボールを渡して
だけど…
いつも中心にいる相葉先輩の姿が見当たらなくて、そわそわしてしまう。
『最後の特訓じゃ~』なんて、
ふざけた先輩達が制服のままバッティングを始めた。
無理矢理ピッチャーをやるよう命じられて、
苦笑いで、マウンドに向かう。
振り返って、
バッターボックスを見ると
いつの間にか、キャッチャーミットを持った相葉先輩が…いて……
…笑顔でオレを見た。
「ニノっ!ここ!
思いっきり投げてよ」
「相葉先輩…」
良かった。帰ってなかったんだ。
真っ直ぐに見つめた。グローブに納めたボールを振りかぶって…
思いっきり投げる。
それは、相葉先輩のミットに、真っ直ぐに吸い込まれて大きな音を立てた。
「ニノっ!ナイスピッチング!」
伝わればいいのに…
投げたボールに、
全部全部想い込めるのに。