第25章 そして卒業 #side櫻井先生
笑い声や涙の中
卒業式が終わっても、なかなか帰路に着く者はいなくて。
見渡すいろんな風景に、それぞれの場面が溢れてる。
幾人もの生徒と、記念写真を撮った後
震えた声で、『話があります』と裏庭に呼ばれた。
思い詰めた瞳は、
今からのシチュエーションを予想するには充分だった。
一度受け取ってしまった弁当
彼女には、きちんと話さなくてはならないと…真っ直ぐに向き合う。
だけど…潤んだ彼女の瞳が、
無理矢理な笑顔に変わってオレを見つめた。
「笑った…櫻井先生は素敵です」
「あり…がと」
「だから、頑張って下さい」
彼女の言葉の意味がわからなくて…曖昧な笑顔を浮かべた。
「今日頑張らないと、先生きっと後悔する」
言い切った強い言葉に、大きく感情を揺さぶられた。