第24章 そして卒業 side智
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遠くにピアノ伴奏と歌声が聴こえて、卒業式が始まったのがわかった。
2人で目を合わせて笑い出す。
「最後までサボっちゃったね」
「ね…」
「智、卒業記念に…ヤる?」
首に両腕を絡めて…誘うような悪戯な目で見つめてくる。
「お前さー、今のくだり、わかって言ってる?」
「わかってるから言ってんの」
照れ隠しにそんな態度しか取れないコイツは、すげー不器用。
今日は卒業だから、キチッと前に進めるようケジメつけとこか。
言葉が足りないオレたちだから…せめて今日くらい、ね。
「…好きだよ。
卒業しても、よろしく」
涙目の彼女が、笑って…頷いた。
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