第24章 そして卒業 side智
いつもは、だらしなくぶら下げたネクタイをキチンと締めて。
集められた卒業生の列に並ぶ。
少し離れた列にアイツが見えて、後ろ姿をじっと見つめた。
今日でもう、会えなくなんだよな。
変な別れ方して、
ワガママで勝手なヤツだって…
せいせいするわなんて思って…今日まできたけど…
アイツの横顔が、やっぱり可愛いなって不覚にも思ってしまって。
ずっとモヤモヤしてた感情は、きっと後悔してるせいで……
そう思ったらもう…
並んだ列から抜けて
見慣れたクラスメートの群れを通り過ぎる。
後ろ姿のアイツの側まで行くと…
何も言わずに手首を掴んで…引き寄せた。
バランスを崩して、転びそうになる体を右腕を引き上げて支える。
「なに?ちょっ、さと…」
振り払おうとする彼女を、
じっと見つめて、口を開きかけて…止めた。
周りからの好奇な視線を感じる。
だけど、そんなのはどうでも良くて…
流れに逆らうように、
体育館のドアを真っ直ぐに目指した。
その間も、彼女はずっと抵抗を見せて、掴んだ腕を離そうとしたけど。
力を緩めることなく、突き進んだ。
センセの声が聞こえたけど、そんなの関係ない。
今みたいな時じゃないとまた避けられてしまう。
だから、今しかないんだって。
「智!卒業式始まるって…」
「サボリ魔が今更なに言うんだよ…
オレはね、卒業式よりお前と2人きりになることのが大事」
体育館を後にして…とにかく2人になりたくて。
体育館から続く渡り廊下を抜けて校内に入った。