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サクラ咲ケ

第23章 そして卒業 #side雅紀







「!」



オレの慌てた様子なんて気にもしないで。

手招きするから近寄ると…オレの肩に捕まって…ひょいっと、コチラ側に降りてきた。


お隣同士 、の部屋の窓と、オレの部屋のベランダ。


昔はこっそり、ここから行き来してたのにね。




「お前何してんだよ」

「ちょっと、お邪魔するね」




当たり前みたいに部屋に入って、ベッドに座ってる。



「エロ本見てたの?」



読んでたマンガ以外にも、色んな雑誌が散らかったまま。



「見てねーわっ」

「ふーん?隠さなくてもいいのに」




並んで座ると…ふわりとシャンプーのいい匂いがして

……ドキドキする。




「何か、眠れなくて」



無理して笑って見せて痛々しい。

好きな人を想う切ない表情。




笑った顔だって、
泣いた顔だって、
怒った顔だって、
寝顔もふざけた顔も


たくさんたくさん知ってる。多分、他の誰より。


だけど、その顔だけは
オレには向けてくんないね。



「雅紀……明日、告白しようって決めたの」

「そっか」




のちっちゃい手が、オレのシャツを引っ張る。





「頑張れって…
、頑張れって言って?
…昔から雅紀がそう言ってくれると頑張れるから」




掴んだシャツに力が入る。


昔から知ってる。


口が悪くて生意気なクセに、
ここぞって時には臆病になんの。


雅紀ぃって甘えてくれんのが、すげぇ嬉しかった。




例えそれが……
どんな理由でもやっぱり、嬉しい。







「、頑張れ」






応援すんのは、正直辛いけど。仕方ないじゃん。



誰より、 の笑顔が好きだから。



いちばん大好きだからだよ。







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