第21章 先輩の後輩 Sideニノ
朝からいつも以上のテンションで、中心になって騒いでる相葉先輩
まだまだ早朝なのに、
野球部員がギュウギュウに乗り込んだバスは、熱気のせいか暑いくらいだった。
3年の先輩達にとって、最後の試合
背中に伝わる笑い声は、なんだか切なく響いた。
ちらっと振り返った後部座席では、
試合前なのに『ハラ減った~』なんて騒いで、先輩達にど突かれてる。
こんなバカな先輩ももう見れなくなんのかな…
そう思ったら…なんかオレらしくもなく、切なく思ってしまう。
真っ直ぐ体を向いたまま、腕を組んで、目を閉じた。
騒がしいバスの中
相葉先輩の声だけがちゃんと聞こえる。
寝たフリしながら…
先輩の笑い声やくだらない会話さえ
ぜんぶ記憶に残したくて
忘れないよう、耳を澄ました。