第19章 幼なじみの恋 Side雅紀
練習着から制服に着替えて部室を出ると…
バックネットの側で待ってたが、オレに気づいて手を振った。
頷いて応えると側に寄って来る。
「ニノ君、大丈夫?」
「ああ…ちょっと赤くなってるだけだから」
肩を並べて歩いて…
こうして一緒に帰るのは久しぶりな気がする。
「雅紀、おっきくなったよね」
不意にがオレを見上げて言うから、何だか照れくさい。
「なんだよ~、今さら」
「ずっと私よりチビだったのにね」
の背を抜いたのは、中2の時だったっけ。
やっと追いついたって…
やっと視界に入るかなって…
すっげー嬉しかったの覚えてる。
でも、は
その頃クラスで一番頭のいい奴に夢中だった。
結局、その頃と何にも変わらない。
いや、もしかしたら…
そろそろ諦めなきゃなんないのかもね。
「卒業したら、雅紀とは別の大学行くし、
こうして一緒に帰る事なんてなくなるね」
「だね…」
卒業がまた、オレらの関係を大きく左右する。
への気持ちはこのまま叶わないのかもしれない。
こんなに、
すっげー…好きなのにな。
「雅紀、お弁当受け取って貰えたし…私、頑張るね」
そんな可愛く笑って、
ホント残酷なやつ。
お前の一言に一喜一憂して…
いいかげん…も…退き際かな?
「なぁ…あっちゃん、オレの事、
カッコイイって言ってくれてたのホント?」
「うん?」
「付き合っちゃおーかな…
あっちゃん可愛いしさ」
ねぇ?は、少しも嫉妬してくんないの?
退き際なんて言いながら、
ほんの少し、期待したかったの。
オレらの…ずっと一緒にいるって関係は、特別だよね
がどう思ってるかなんてわかんないけど…
…オレん中じゃ、なによりいちばん大切だよ。