第16章 同級生の恋 #side 智
いっそのこと喧嘩でもして、
思ってること全部ぶちまけて
訴えるように…見つめてみたのにさ…
「あ…そ…
智ってばつまんない」
スカートをパンッと叩いて整えると
背中を向けて行こうとするから、咄嗟に肩を掴んだ
勢い良く振り払われて、
「智のバカ!」
そう言って睨まれた
「だからさ!話聞けって」
「イヤ!もぅ、智なんか嫌い」
逃げるみたいに、
駆け出した彼女に…
『待てよ』と言ったものの、
内心…彼女に絶望したし
もう無理かなって…
出した右腕を降ろして、大きく息を吐いた
『いっで~~』
その時、廊下から響いた 聞き慣れた声に、俯いた顔を上げる
そして、思った通りの人影が…お尻をさすりながら現れた
「っで~、…とあれ?
おーちゃん?今さ、彼女…すげー勢いで走ってたけど?」
練習着の相葉ちゃんに
思わず、力が抜けた
「大丈夫?ゴメンね。
アイツとぶつかっちゃった?」
「うん…大丈夫!
ケツ打っただけだから」
机を覗きながら、笑顔を見せてくれる
「なに?また忘れもん?」
「そう。ちょっとね。
あったあった」
机から取り出した袋を広げて…徐に鼻を近づけた
「相葉ちゃん?」
「あのね、お昼にサンドイッチ買っといたんだけどさ?
やっぱり生モノだから大丈夫かなって…」
「生…ね」
「う~ん…やっぱり生はアブナいかな」
「アブナイのにね…」
『智子どもなら産んでもいいかなって』
…何であんなこと、
軽はずみに言うんだよ
「おーちゃん?」
キョトンとした相葉ちゃんに、
「女の子ってさ…わかんないね」
ひとこと呟いて苦笑い
いつも笑顔の相葉ちゃんも
切ない顔で頷いて…
2人で…笑った