第16章 同級生の恋 #side 智
「今日はさ、とりあえずどっか行かない?」
机に脚を組んで座った彼女が、オレの言葉に不思議そうに首を傾げた。
「え~?ここでいいじゃない」
「たまにはさ…ね?」
帰る準備をしながら話すオレに、
脚を組み替えた彼女のスカートの中身が見えた。
「今日のエロいよ?」
「エロいって…」
目を逸らしたオレに…彼女がクスッと笑う。
「今さら下着で何とも思わないか。
……どんなのつけてもどうせ脱いじゃうしね?」
「ちがっ、そーゆうんじゃなくてさ」
今日こそ、真面目な話しとかなきゃ…いつも流されるからさ。
「じゃ、ここでもいいよ」
「そ?やっぱさ、教室っていいよね。背徳心っていうかさ」
机から降りた彼女が、椅子に座ったオレの肩に手を掛けた。
斜めに顔が近付いたから、閉じた瞳を一瞬見つめて。
ワザと体を背もたれにつけた。
唇の届かない距離感に、彼女が目を開ける。
「智?」
瞬きを見つめたまま、静かに息を吐く。
「あのさ。そんなに……シたいの?」
「智、どうしたの?」
「それだけってさ…やっぱり変だよ。オレはさ」
「気持ちいいでしょ?なんならさ?今日は"生"でやる?」
オレの言葉を聞こうともしないで…また、ズレた話するし。
さすがにこれには頭にきた。
「ナマって…お前わかって言ってんの?」
「私、智の子どもなら産んでもいいかなって」
見つめ合ったまま…暫く動けなくて
「お前がそんなじゃオレ、
付き合ってらんないわ。だから」
キツい言い方したな、とは思ったけど
オレをちゃんと好きならさ、話を聞いて貰えると思ったんだ。
こんなんじゃ、続けてくことなんか無理だよ
卒業前にオレらお終いだよね