第15章 先輩と後輩 side ニノ
練習始めのストレッチから
いつも以上のテンションで、 何かあったの……バレバレ。
「どーかしました?今日」
「へ?」
ほら、すーぐ顔色変わる。
「何でぇ?」
ヘラヘラ笑ってるけど、オチてんの、気づいてますから。
「なんか相葉先輩、
いつもと違いますよ」
バッティング練習中
オレがボールを放ると、
それにタイミングを合わせて、先輩はバットを振った。
全然、集中力ないし…
空振りなんて普段ほとんど…
いや、そもそも、打ちやすいように放ってるだけよ?
当たんない方がおかしいんだって。
「全然フツーだって!」
そう言って笑うけど…
多分、あの幼なじみの女と何かあったんだなと思ったら、
やっぱりいい気はしない。
そしたらさ、
無理矢理な笑顔を見てるのが辛くなってきて…
先輩と同じで、
オレも意識が別んとこいってた。
「わっニノっ!危なっ」
「え…」
バットに掠った球が、
ネットじゃなく…
ボールを放ってたオレの元に飛んできて、
避ける間もなくオレの頭に直撃した。
「ってぇ…」
痛みはあったけど、意識はハッキリしてた。
だから…
「ニノっ!だいじょぶっ!?」
慌てた相葉先輩が近寄ってきたから、ワザと大袈裟に倒れた。
相葉先輩が、あの女の事ばっか考えんなら
デッドボール顔面に受けたっていいよ。
頭を押さえて蹲りながら、そんな事考えてたら
「うぁっ?」
相葉先輩に抱き抱えられて…宙を浮いてた。
薄目を開けると、先輩の顔が凄く近くて
……ドキドキした。