第12章 先生と生徒 #side 櫻井先生
頭いてぇな…
「コホッ…ン…あーあー」
そういや喉の調子も良くない。
授業を終えて、職員室に向かいながら、
途中、保健室のドアをノックすると
「はい?」
予想した声に、ドアを開けて顔を覗かせた。
「松本先生、ちょっと…」
窓を開けてる先生の姿が見える
「換気…ですか?」
「あ~、ちょっと空気が良くないかな~って。櫻井先生、何か?」
「あの、風邪薬あります?ちょっと喉が…」
喉元を押さえて、ゴホンと咳払いした。
「あ~、具合良くないですか」
「そうなんですよ」
「……ふふ、ちょっと待って下さいね」
……オレ、何かおかしな事言ったかな?
鍵付きの棚から薬を出すと、
松本先生はそれを手渡してくれた。
「ありがとうございます」
椅子に腰掛けて、薬を含む。
「良くなるといいですね」
「はぁ…ですね」
ふふふ…と笑って、
また、意味深な視線送ってくるし。
「何か言いたい事でも?」
「いや!そーいえば、あの話の続き聞いてないなって…
愛し君とその後どうなりましたか」
コーヒーの匂いが広がって…
2つカップを持った松本先生が、1つを渡してくれた。
「ミルク入れといたんで…口当たり優しいでしょ」
「……ホントだ。美味い。
愛し君って…どうにもなりませんよ」
苦笑いを浮かべて、
もう一口喉に流し込む。
ワザとゴクンと音を立てて飲むと…痛みも和らぐ気がした。
「今日はカフェオレ代に……
例の手を出したって話聞かせて下さいね」
ニッコリ笑って、
かえって…迫力だな。
「……聞いても仕方ないですよ?」
「いやいや。櫻井先生の恋バナなんて…価値ありますって」
そう言って松本先生は笑うけど。
話しても…
多分呆れるだけだろう