第11章 同級生の恋 #side 智
「あのさ!」
身体を起こして、彼女の頭に触れた途端
「ゴホン!あ~!喉の調子ワリィな~と」
不自然な松本先生のデカい声が響いた。
ヤバっ…戻ってきたし!
慌ててズボンを上げて、彼女も制服を正した。
「さ~、そろそろ帰る用意でもしようかな~」
松本先生の大きな独り言は続いて…
彼女は…そっと、
カーテンから顔を出した。
「松本先生!具合悪かったから、ちょっと休んでたの」
「ふーん」
「も、帰るし!」
「……大野は具合いいのか…」
オレがいるのも気づいてんだ。
さすが松本先生、全部お見通しだって?
ベッドから降りて、 カーテンを捲ると、松本先生の前に出た。
「もう大丈夫なんで」
「そ…もう良くなったの?」
「はぁ…良くなりました」
「そりゃ良かったな」
一瞬、ニヤリと笑われた気がした。
彼女に着いて
保健室を後にする。
廊下の冷たい空気に晒されながら、ため息が漏れる
また、
……言えなかったな。