第10章 幼なじみの恋 #side 雅紀
押し倒したオレの下のが、黙ってオレを見上げる。
少し開いた唇
今キスしたら、おんなじチョコの味すんのかな、なんて思う。
さすがに、オレの気持ちにも気付くかなって…
の、オレが掴んでない右手がゆっくり伸びて来て、そっと…オレの頬に触れた。
「」
「雅紀…」
……今、言ってしまおうか。好きだって…
「っ、オレ…」
「わかんないなぁ~」
「へ…?」
「あっちゃんがね?雅紀をカッコイイってゆーの」
顔に触れた指が、オレのほっぺをプニッと摘む。
「にゃにすんだぉっ!」
「…大したことないよね。
…ってか!邪魔!」
思いっきり膝を蹴られる。
「いってぇ!」
「私帰る!」
そのまま身体を起き上がらせて…オレを押しのけた。
「おいっ、!」
ドアを少し開けたとこで振り返ったが、思い切り睨んだ。
「次ふざけたら技かけるからね!」
「技ぁ?」
バタンとドアが音を立てて閉まって、階段を降りる足音が遠のいていく。
なんなんだよ!少しは動揺しろよ。
技って…ガキじゃねんだから。
オレらって…ホント進歩ねーよな。
あんなシチュでも、何とも思って貰えない。
身長だって体付きだって変わったの…は気づかないの…?
幼なじみ…って、
近いようで遠いよな。
ただのクラスメートのが、ちゃんと男に見てもらえる。