第10章 幼なじみの恋 #side 雅紀
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「ちょっと黒く染めよっかな、ストパーあててさ…」
「いーんじゃないっすか」
「大体さぁ…最初から
簡単だって思ってないし」
「ふーん。あ、1個ちょーだい?」
の目の前にあるチョコレートに手を伸ばす
「ダメ!私のっ!」
パッと手で覆われて、
そのまま、チョコの箱をオレから遠ざけた。
「んだよ!ケチ!」
「あのね!甘い物食べて、
自分を慰めてんの!雅紀には悩みなんてないんだし勿体無いでしょ!」
「あるよっ!悩みくらい」
目の前に座ったをジッと見て、真面目な顔して言ったのに、
「ぷっ…くくっ…ヤダぁ」
吹き出して笑い出す始末
「ね?どんな悩みよ?
お姉さんが聞いてあげよう」
無神経に何言ってんだよ。
昔っからそう、3ヶ月早く生まれたってだけで、いつも偉そうにすんの。
「言わねーよ」
目線逸らして、ベッドに転がる。
置きっぱなしだった雑誌を、仰向けの体制で広げた。
「雅紀ぃ?何機嫌悪くしてんのよ?」
「………」
無視して雑誌で顔隠して、
ギシッ…とベッドの軋む音がして、雑誌を少しずらすと…
「なっ、何だよっ!?」
首を傾げたが
隣に、寝そべって来てさぁ…
いきなりの至近距離にドキドキし出した
「仕方ないなぁ…ほら!」
雑誌と顔の隙間から、
華奢な指が伸びて来て、
オレの口ん中にチョコレートが1つ押し込まれる。
「おいしーでしょ?」
「…甘い」
「当たり前でしょ!チョコだもん」
なんで…あっち行かねーんだよ。
そのまま頬杖ついて、隣に転んでさ。
身体…触れてるって…
意識してんの必死に隠して、
心臓の音聞かれないよう…少し離れた。
「悩みって…、あれでしょ?彼女出来ないとか?」
あまりにわかりきった口調で話し出すから…ちょっとイライラした。
「私、紹介してあげよっか…雅紀って意外に人気…」
ブチッと…何かが切れて、
雑誌をベッドの下に落とすと…
頬杖をついた手首を掴んで、背中をベッドに押し付けた。