第7章 同級生の恋 #side智
「あれ…おーちゃん?」
「へ?相葉ちゃん?」
1人残った教室で、制服を直してると、
クラスメートの相葉ちゃんが、
野球部の練習着のまま、そこに立ってた。
「忘れ物思い出してさぁ~、
ちょっと抜けて来た」
そう言って、机をガサガサ漁り出す。
「おーちゃんはなにしてんのー?
彼女一緒じゃないの?」
「一緒だったよ…ついさっきまで」
あと1回ヤッてたら
相葉ちゃんに見られてたな…
あぶねー…
「あ。さっき、
ここまで相葉ちゃんの声聞こえてたよ?」
聞き慣れた独特の笑い声
いつも笑顔の相葉ちゃんは思い出したように話し出す
「あ~!あれかな?
さっきニノが、ホームラン打ったの!
アイツ身体小さいのに、やたら上手くてさ~」
ニノ…?確か…
「相葉ちゃんの恋人!」
「ふひゃひゃ……そう♡」
ふざけて笑うけど、
相葉ちゃん…わかりやすいんだよなぁ。
本命は、いつもふざけ合ってる幼なじみでしょ
今日も2人で授業抜け出して、ナニしてたんだか……
……って、それはオレか。
「あったあった!んじゃ…オレ練習戻るわ!」
人懐っこい笑顔を振りまいて、
相葉ちゃんが出て行くと、教室はまた静かになった。
ついさっきまで、ここでヤってたなんて、嘘みたいだな。
喘ぎ声は耳に残って…肌の感触だって、
絡めた舌も重ねた体もイく瞬間のあの顔だって、全部鮮明に残ってる。
「…マジで
楽しむだけかよ」
それでもさ…君と居られるなら
君が望むなら…
身体だけの存在でも、いいのかなって。
オレ、思ったんだ。
思う事にしたんだよ。