第4章 怖い人
「この部屋!この部屋を片付けよう」
シャチとペンギン、それからベポに案内されて連れてこられたのは、本が山のようにある部屋だった。
「ここキャプテン専用の物置きみてえなもんなんだけどよ、片付ければ寝れるぜ」
ケラケラと楽観的に笑いながらシャチが言うと、「片付けるの大変そうだなあ」とベポが隣で漏らした。
専用の物置をたった数日ここにいさせてもらう私のために片付けさせるのはどう考えても、すごく、とんでもなく、非常に申し訳ない。
「あの、私本当に、倉庫とかで大丈夫ですから…わざわざお部屋を開けて頂かなくても、寝れるならどこでもいいんです」
申し訳なさが募る。
三人の一歩後ろで立ち止まり、目を伏せた。
三人はふりかえり、ペンギンが私の前で身をかがめた。
「お前はそればっかりだな〜。大丈夫だって、少しは気ぃ抜けよ」
俯いた私を下から目が眩むような笑顔で覗き込んでくる。私がこの船に乗ってからずっとガチガチだったことは、すでにバレているようだ。ペンギンは「な!」と言って混じりっけのない笑顔を見せた。
シャチも頭の後ろで手を組んで口元を緩め、ベポもニコニコとしている。
何から何までお世話になることにも申し訳なさを感じるが、せっかくの好意を踏みにじっている私の言動は、もしかしたらそれ以上にとんでもなく失礼なのではないだろうか。
“機嫌を損ねたら殺されかねない”なんて考えはもう忘れていた。
今はただ、目の前の親切を素直に受け入れよう。
「すみません……。…………掃除、頑張りましょう!!!」
「おう!!!」
四人で片づけを始めるが、見た目に反せず三人は片づけが苦手なようだ。さっきからちっとも進んでいないように見える。
「おかしいなー、片付けてるはずなのにだんだん足の踏み場がなくなる…」
床には本や壊れた武器、海図も散乱している。中でも凄いのは本だ。床に積み上げられ、いくつものタワーを作っている。
医学の本、図鑑、小説など……たくさんのホコリが積もっていた。
それを一冊ずつ壁に埋め込みの本棚に整頓し、着々と“船長専用の物置”の掃除を進めた。