第4章 怖い人
誰もいない食堂はガラリとしており、早朝のため まだ今日の朝食の当番もきていないようだ。
なんとなく一番奥の椅子に座った。
遠くで、でも近い距離から声が聞こえる。
そういえば昨日もこんな風に……。
「……!レイ…!………レイ!!」
パチと目を開けると、知った顔が二つ。いつの間にか机に突っ伏して寝ていたようだ。
あんな所であんな体制で寝たので眠りが浅かったのだろう。
「あ〜やっと起きた!おはよう。もう飯できてっぞ」
「え?」と気の抜けたような返しをして前を見渡すと、さっきまでは何も無かった机に朝食がズラリと並んでいた。
「さ、食おうぜ!」
シャチの言葉の後、全員が一斉に整わない声で「いただきまーす」と言いながら大皿に手を伸ばした。
まだ脳が起きていないような感覚にムチを打ちながら、誰かがよそってくれたお米に手をつけた。
「レイ、昨日はずっとここで寝てたのか?…悪いな、お前の部屋案内するの忘れてた…」
むぐむぐと口に入れたままのご飯で頬を膨らませながら眉を下げたのは隣に座っているペンギンだった。
むしろ乗せてもらっているのだから、スペースさえあれば外でも倉庫でもどこでもいいと私は思っている。
「いえ!昨日は気づいたら外で寝てました」
自分の行動に呆れたように苦笑しながら言うと、ペンギンの向こう側にいるシャチがひょこっと顔を出した。
「外!?外なんて寒くて寝てらんねぇよ!あんな寒い中寝てたのか!?」
周りにご飯を撒き散らしながら叫ぶので、ペンギンがすごく嫌そうな顔をしている。私はヘラヘラとした苦笑いを浮かべながら「考え事してたらいつの間にか寝ちゃってて…」と付け足した。
「考え事でもあの寒さじゃ寝れねえよ」
「ごめんな、俺ら、すっかり忘れてた」
ペンギンも寒くて寝られないことに同意して、シャチも忘れていたことを謝った。
「私は寝れるならどこでもいいんです!外でも、廊下でも、あ、倉庫でも大丈夫です!」
二人があまりにバツが悪そうな顔をするので、こちらも申し訳なさが募りわたわたと両手を振る。
シャラシャラと音を鳴らす両手は、未だ輪っかが付いたままだ。
「それも後で外そうな。とりあえずこれ終わったら部屋一個空けるか」
「そうだな」
それから二人の間で勝手に会話が進み、朝食を終えた。