第4章 怖い人
半分は扉の方に顔を向け、もう半分は食べたり駄弁ったり。
そんな私もガチャリと音を上げた扉の方に視線を持っていった。
「ん、キャプテン遅いぜ〜」
「もうほとんどなくなっちまったよ」
投げかけられる声をよそに、じろりと机の端にいる私に目を向ける。
やっぱり船に乗せてもらった上に食べ物までいただくなんて図々しすぎただろうか。おこがましい女だと切り捨てられるだろうか。
焦りで顔が引きつりそうになり、持っていた箸と茶碗がだんだんと下に下がっていく。
しばらくすると船長さんは私から目を離し、足を進めて 空いた席に座った。
時間にしたらほんの数秒、長くて1分もないだろうその行動がスローに見えてすごく長い時間に感じられた程度には焦っている。
動悸が激しく額に汗が垂れる勢いだ。
だが船長さんは何事もないように夕飯を食べ始めた。
横目で表情を確認して視線を下げた。
こんな感じで15日もこの船にいれるだろうか……。
不安を残しながらなんとか夕飯を食べ終えると、食堂からは既にほとんどのクルーが出て行ってしまっていた。
どうやら私が最後のようだ。
いつの間にか船長さんもいなくなっていて、食堂には食事を済ませたクルーがちらほらと雑談したりじゃれていたり。
ここは憩いの場となっているらしい。
さすがに一人一人に部屋は割り当てられていないだろうから、潜水中はだいたいこの食堂で過ごす者が多いのだろう。
今は浮上しているが夜なので見張り以外はだいたい船内にいるのだと思う。
そういえば、「余ったら俺が食べる」と言ってくれたペンギンの姿も見当たらない。
空になった食器を重ねて水道まで足を運ぶと、もう夕食の後始末は終わっているようで、キッチンはそれなりに片付いていた。
スポンジと洗剤を手に取って、自分が使った食器を洗った。