第4章 怖い人
船に乗せて貰った上に食事までも…と若干の申し訳なさと不甲斐なさを感じていた。
船の探検をしている間にすっかり打ち解けたシャチとペンギンの隣でひっそりとお米とスープだけを口に運ぶ。
そういえば、船長さんの姿が見当たらない。
一匹狼っぽいし クルーから敬遠されていて 食事はいつも一人でとっているのだろうか、とあれこれ考える。
ニット帽の中のひとつに分類されそうな白い帽子に、前にファスナーの付いた紺色のパーカー、細身のズボン。
目深に被った帽子から覗く獲物を狙うような鋭い目は、まるで全てを見透かし私を射抜くようで、そう長い時間目を合わせることが出来ない。
アレにお世話になるのだと考えるとだんだん命が短くなっていくような気がしそうで、極力避けたい気もするがそんなことをすれば肩に持っていた刀でどんなことをされるか分からない。
食事中に想像することではない……。
巡らせた思考を別のところに移し、これ以上考えるのはやめた。
全員の顔を見回して、早急に覚えなくてはいけない(と思っている)それぞれの名前を必死に思い出す。
全然思い出せない。
シャチ、ペンギン、それからベポと呼ばれていたシロクマと、それぞれ特徴のあるクルー数名。
帽子や仮面、メガネをしているクルーが多いため、その特徴を外されてしまうとどうにもまだ全員は覚えられない。
中には食事中もその突極性を外さない者もいる。
後でこっそりシャチかペンギンに全員の名前を聞こう。そうしよう……。
肩を落とし考えることがなくなった時、下を向いていた顔の前に隣から手が伸びてきた。
「遠慮しねえでもっと食べろよ、おかずにも手ぇ伸ばせよ!」
隣に座っていたシャチの手だったようだ。
持っていたご飯茶碗の中に魚の揚げ物や炒め物がポイポイと放り込まれる。
「ちょ、私こんなに食べれませんよ……!」
あまりにたくさん入れられるので、焦って声を上げる。
せっかくご飯を半分ほど食べたのに、また茶碗いっぱいに、それも溢れそうなほどに山盛りになってしまった。
「余ったら俺が食べるから残しとけ」
シャチの向こう側から ペンギンが魚を頬いっぱいに詰め込んで顔をひょっこりと出した。
二人ともすごい食べっぷりだ。
とりあえず「はい」と返事をして、全部食べようと気合を入れた時、騒々しい食卓に小さく扉が開く音が響いた。
