第4章 怖い人
シャチとペンギンが妙な女を連れてきた。
大量の海軍に追われていて、寝起きのような服を纏い、裸足で走り回ったようで足は土と血で汚れていた。
鎖は千切れているが、両手に手錠の輪っかを付けている。
シャチとペンギンには付いていないので、あの女が縄か何かで縛られていたのを切ってやったのだろう。あの鎖は二人のどちらかが引きちぎったか。
太陽に当たると深緑色のようにも見える長くて艶のある髪の毛が乱れていることから、相当必死だったということが分かる。
船に引き上げられてからもしばらく肩を上下させ、その体力のなさが伺えた。
女をどうするか口を出してこの女が自ら船を出ようとした瞬間、俺の目の前をシロクマが遮り耳につく声を上げた。
ドタドタと駆け寄り女を抱え上げると再度俺の前を通って船内に運ばれた。
戦闘ができそうな武器も持っていなければ、海賊の風貌でもない。
いや、だが、女は見た目によらず海軍に追われるようなことをしている奴も多い。武器は落としてしまったのだろうか。
ある程度追っ手から逃げられるくらいの脚力と隠れることのできる冷静さはあるようなので、泥棒の類いのものか…
あんな女1人増えたところで航海に差し支えはないし、妙な真似をしたら斬って海に捨てるつもりだ。
次の島まで15日と、予想より少し長いが仕方がない。
シャチとペンギンがあまりに懇願するので今回は黙認することにした。
甲板にクルーと女を置いて自室に戻り、上陸前の本の続きを読み始めた。