第4章 怖い人
バンッという音を立てて扉を開けて甲板に立つと、面識のある二人がキャプテンに頭を下げていた。
「おれらあのこに助けられたんすよ!」
「あのこがいなかったら今も海の上の軍艦でした!!」
キャプテンは二人を見下ろし、必死の訴えに腕を組んで耳を傾けている。こちらから表情は確認出来ないが、恐らく快くは思っていないだろうということは分かる。
「あの!!!」
扉を閉める余裕もないほどに焦りながら三人に駆け寄る。
「まだ泳げば間に合いますから…!島見えますし!」
こんなことを言いながら、海に飛び込んだ瞬間波に流されて数分後には死ぬ自信がある。
誰とも目を合わせずに二人と一人の間に立った。
「またあの海軍だらけの島に戻るつもりかよ」
「あいつら俺たちじゃなくてお前を追いかけてたみたいだったぞ」
三人で逃げ回っている途中、“女を置いていけ”という言葉を幾度となく投げられたのを二人は聞き逃さなかったらしい。
一人で逃げることもできない小柄な女一人を捕まえるのになぜそんなに必死になっているのか、二人には理解出来なかったらしい。
数秒ほど黙りこくっていると、開きっぱなしのドアからシロクマが顔を出した。
「どうしたのみんな〜!」
急ぐ様子はなく小走りでこちらに駆け寄ってくる。
「ベポからも言ってくれよ!」
「このこを次の島まで乗せたいんだ。」
私を指さして口々に言う。シロクマが「え?別にいいんじゃない?」とケロッとした顔をすると、二人はまた長身の男に向き直って「キャプテン〜〜!!」と懇願する。
なんとも居心地が悪いこの状況をどうにかしたくて、でもこの船を今すぐに出る手段が閉ざされてしまってどうにもならない。
ギャーギャーと訴える二人を煩わしく思ったのか、キャプテンが重い口を開いた。