第4章 怖い人
「大丈夫!?足から血が出てるよ〜手当するのに船に乗せたんでしょ?医療室はこっちこっち!」
ドテドテと歩いて…走って?こちらにやって来る二足歩行のシロクマにリアリティを失ったような拍子抜けの表情を浮かべた。
見当違いの勘違いをしたシロクマに横抱きにされて「わっ!」と情けない叫び声を上げる。
「あの、違くて、私は……!」
大慌てでシロクマに話しかけるが、「大変だ〜」と言って全く聞く耳を持っていないようだ。
「おうおうそのまま包帯巻かれちまえー!」
「いいぞーベポ〜!」
後ろから大声でこちらを囃し立てる笑い声が聞こえる。
やがて船内の医療室と思われる部屋のベッドに降ろされてしまった。
部屋を見回すと、薬と医療具、本がたくさん並ぶ中、刀もたくさんある……。襲撃に備えて全ての部屋に置いているのだろうか。
私を降ろした後棚をゴソゴソしていたシロクマは包帯と消毒液、水が張られた桶を持って私の前に立った。
自分の足を見ると、ガラスが刺さっていたことが分からないくらいに汚れていて、森の中を走り回ったせいで擦り傷だらけになっている。それからいくつか血が滴り落ちるくらいの大きな切り傷もあった。
どこかに引っ掛けたのだろうか。
水が張られた桶に足を付けて汚れを落とす。
「大丈夫?痛くない?」
「はい、大丈夫です」
多少痛いのを我慢しながら何でもないを装う。
泥が落とされたのを確認して、消毒液をガーゼに浸した。手際よく見えるが、少し不器用らしく、ガーゼから傷がはみ出ていたり消毒液を付けすぎて傷に染みたりする。
でも今はそんな彼の優しさも痛いくらいに嬉しいのだ。
不器用に包帯が巻かれていくのをぼーっと眺めていた。
「できた!!」
という声と同時に我に返った。そうだ、私。
「わたし、この船を降りなきゃ……!」
焦点の合わない目で扉を見つめてベッドから降りた。
「え、どうしたの!?」
後ろから聞こえる声も聞こえぬほど焦りながら、巻かれたばかりの包帯に構わず甲板に一直線に走り出した。