第3章 助け舟
目を開けて上を見ると、明るく眩しい空が広がっていた。
“ああ、太陽の元に帰って来れたのね……”思わず感情が高ぶりそうになる。
担がれていた肩から降ろされ、地面に立つ。
「ありがとうございました。ほんとうに」
手を前で揃えて深々と頭を下げた。
「いいんだよ、こっちだって縄切ってもらわなかったら逃げれなかった。」
「そうだぜ!俺らの方こそありがとう。」
私の肩と背中をそれぞれがバンバンと叩きながら上機嫌に笑い声を立てた。つられてクスクス笑うと二人はわずかに目を見開き頬を染め、慌てふためいた。
「それじゃ!気をつけろよ!!」
「もう捕まるんじゃねえぞ!!」
そう言い残して走り去ってしまった。
とりあえずこの海岸沿いに歩いたらどこかに着くだろうか。でも軍艦が止まっている港に逆戻りしてしまったら……と考えるとゾッとしたので、方向を変えて森の中を歩くことにした。
枝が落ちていたり植物が生えていたり小石が落ちていたり。細かいガラスが突き刺さっていることもあり、素足で歩くには少々甚い。
今の私はとても見た目が悪い。寝起きのパジャマと素足、整っていないボサボサの髪の毛で全身が薄汚れている。
街についたとしてもお金が無い。こんな身なりじゃ娼婦としても雇ってもらえないかもしれない。もっとも、私にはそんな経験は全くないため、どちらにせよすぐにはお金は稼げないのだが……。
それにまだ海軍もたくさんいるはずだ。私がこの島にいることは明確なのだから。
迂闊にこんな格好で人前に出てしまえば目撃情報もすぐに集まり早々に見つかるだろう。木に囲まれた場所ではたと立ち止まった。
どうしよう……。
このまま何があるか分からない森の奥に足を進めても無意味で場所によっては危険だということを考えると、あまり動かない方がいいかもしれない。
でも立ち止まっているのも落ち着かないので、のろのろとゆっくり意味もなく歩き始めた。
「いたぞ!こっちだ!」
後方から呼声が聞こえた。
「しまった…!」
捕まるわけにはいかない!足が痛むのを忘れて素足で森の中を走り出した。
後ろから追いかけてきていると思えば、斜め前からも追っ手が来てしまった。さらに方向を変えてどこに向かっているのかも分からず必死に足が擦り切れるほど駆けずり回った。