第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
なす術もなく思い切って目を閉じる。
が、感覚があったのは唇ではなく額。
痛みを感じ思わず、目を開け額をおさえる。
「え!?」
「バーカ。」
一体何が起きたのか。
今までの事と額の痛みから把握する。
状況を整理すると、つまりはキスされると勘違いをしたがただ単におでこをデコピンされただけ、ということか。
‥‥‥とてつもなく恥ずかしい。
「キスされると思ったか?」
学秀は私を抱きしめていたが手を離し、悪戯に笑う。
「も、もう!普通に考えたらそうだって勘違いしちゃうじゃん!」
照れ隠しで生意気にそう言ってしまう。
本当に学秀はセリフを聞いてただけかもしれないのに。
「今はしないに決まってる。もしするとしたら、その時はーー」
5時になり鐘が鳴る。
学秀は途中で口を噤んだ。
「え、何?なんて言ったの?」
「何もない。」
そう言い学秀は公園の出口に向かって歩き出したので、私も後を追いかける。
「教えてよー!」
「言う気なくなった。そろそろ帰るぞ、送ってく」
沈みかける陽が、
学秀と花日を照らしている。
まるで2人だけを照らすように、明るく。
学秀との1日は‥‥
映画の通りとまでは行かなくても。
映画みたいにドキドキで、彼の優しさが見えたような感じがしたーー。
今度はどんなものを見ようかな。
番外編〜君と過ごす1日〜
学秀story END.