第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
(もしかして、あの展開に...)
自身の戸惑いを感じながら、意識が少しくらっとくるような気もする。
先ほどの涙も忘れてしまうほど焦ってしまう。
「あ、の...ど、どうしたの?何かあったーー」
「花日...」
恥ずかしさのあまり下を向いていたが、名前を呼ばれたので学秀の方を見る。
学秀の目は妖しく輝いていて...
何だか目が、離せない。
「え、なにっ..?」
「あの映画だと...僕がなんて言って、キスに至るんだっけ?」
今の学秀に緊張して頭が真っ白だ。
きっとあの囁いているシーンだろう。だけど全くわからない。
私は思わず「え...」と口に出してしまった。
するともっと距離が近づき何事かと思えば、学秀の髪が横に見える。
これでは全くあの映画のシーンと同じだ。私の耳の方に口を寄せている。
「学秀...?」
「誰よりも、愛してる」
「えっ?」
そう言うと学秀は「だよ」と付け足す。
何を囁いたか教えてくれたつもりなんだろうけど、本当にそのセリフを学秀が言ったように聞こえたような気がした。
だって、感情がこもっているように聞こえたから。
(いや、でもないよね)
「そっか...」
「って言ったら?」
質問の意味がわからず、学秀を見る。
それがわかったのか彼は「この後主人公はなんて言うか覚えているか?」と付け足した。