第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
私の様子に、何があったか察した学秀は立ち上がり隣にきてくれた。
それでも私は虫がまだ落ちていないかもしれないと必死に払う。
すっかりパニック状態な私に対し呆れることもなく落ち着いて太腿を見て、「もう落ちてる」と学秀は言ってくれた。
それでもなお心配してる私を見て、もう大丈夫だと言い聞かせるように抱き寄せてくれる。
普段なら照れていたかもしれない。
でも、今はとても安心できる。
しばらくして落ち着いた私は「もう大丈夫」と言った。
「虫苦手なのか?」
「うん...触ることもできないかも。」
質問されたので返すが、
一向に離してもらえる気配はない。
(もしかして、通じなかった?)
「ご、ごめん!もういいよ」
その声を学秀は聞いてかより一層先程より抱きしめる力が加わる。
「このままでいい。」
私が良くない。
鼓動はだんだん早くなっていて、何だか少し暑くなってきている。
だが・・・
心なしか学秀の鼓動も近いのでわかるが、早いような気がした。
それを感じると共に、この状況を何処かで見たことがあった。さっき見た映画のある場面だ。
幼馴染が主人公を抱き寄せ...二言一言囁き、キスをする。
確かそうだった。
その囁いている言葉というのは、私がその時ちょうどポップコーンを食べていたため聞こえなかったが。
だが、これは覚えている。
キスされる前、主人公は「嬉しい」と言い優しく微笑んでいた。