第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
「横、見ろ」
と言われたので指差す方を見る。が、何もなかった。「何?」と聞こうと立ち止まった学秀の方を振り向くと。
ギュッとほっぺをつねられた。
(えっ!?)
驚いて学秀の方を見ると、彼はいたずら顔をして笑っていた。
「ちょ、何!?」
「お前が静かだから、ちょっと揶揄っただけだ」
「もうっ!」
私が半笑いでちょっと怒ったような素ぶりを見せると、学秀は笑っていて‥‥何だか楽しくなった。
それがあってから、いろいろ2人で話しているうちに目的のショッピングモールに着いた。
(楽しかったからか、早いなぁ)
私がそう思っていると、学秀も着いた瞬間にそう言っていて同じ事を思っていたのだと嬉しくなった。
ーー
「これ、今テレビ番組で便利だーって言ってた奴!」
私たちは今、文房具がたくさんあるお店に来ている。何か買うかはわからないけれど、きっと見ているだけでも楽しいと思うから。
「へえ。でも一見は鉛筆にしか見えないぞ?」
「違う違う、これはねーー」
そう言って説明しながら学秀に使い方を見せてみる。その合間彼の顔をこっそり見ると、何が何だかあまりよくわかっていない感じだ。
「こんな物もあるんだな」
私が手にとって見せたサンプルを学秀も見ている。興味があるような様子だ。
思いの外楽しんでくれていて、私まで嬉しくなった。