第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
しばらく歩き、映画館へ着いた。
現在腕に付いている時計は11時前の針を指している。学秀の調べてくれた情報だと、この時間帯に上映されるらしい。
が、ないのだ。
予定していた映画が。
時間帯は違っていて、11時からなのは昨日だったみたいだ。
「ねえ、どうする?」
何気に楽しみにしていたのに残念だが、しょうがない。
知らない映画は出来るだけ観たくないなぁと思いながら尋ねる。
「じゃあ、あれはどうだ?」
そう言って指さす学秀の手の先を見ると壁で、映画の題名と画像が飾ってある。
(恋愛系じゃん...)
今話題のもので、よく宣伝もされていた気がする。そんなに見たくもないものではないので、「いいと思う」と了承した。
だが、どうして恋愛系を?
「でも何で恋愛系?」
「別に‥‥今一番待ち時間が少ないのはあの映画だからだ。」
「そっか!じゃああれにしよう」
そういうことかと納得しながらチケットを買いにレジへ歩いて行く学秀を追いかける。
店員の人と学秀が話しているのを隣で見ていると、学秀が財布を取り出しているのがわかり自分も取り出す。
が、楽しみにしていた為普段使い慣れていないバッグを持ってきてしまい、なかなか開けられない。
このままではレジが詰まってしまう。
そう思いながら慌てていると、
「花日、終わった。行くぞ」
と会計を済ませた学秀が後ろから私に声をかけていた。一旦バッグに手をかけるのをやめ、そちらの方へ駆け寄る。
走っている間に、
私はあることに気がついた。
もしかして、私がすぐバッグから財布が取り出せないということに気づいてくれた...?