第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
《 学秀story 》
「花日、映画見に行かないか?」
先程、私達は山を降りたところで合流をした。目的はいつもの事である、一緒に帰る為。
普段と一緒でしゃべっていると、学秀が何処かへ出掛けないかと誘ってくれたのだ。
時間も決め話は順調に進んでいる。
そして今は、何処へ行くか決めているところ。
「いいね〜!でもなんか意外だな、観たい映画とかあるの?」
「‥‥いや、特にない」
では何故映画にしたのだろうか。
少々謎に思いながらも、自分も何か観たい作品があったか思い返してみる。
(...特にないや)
「じゃあどうしよう?私も特にないし...」
と言った瞬間、ある事を思い出した。
ちょうど私達が決めた日程の時に公開される映画があったという事だ。
あれは確かコメディだった気がする。
それなら学秀も喜んでくれるだろう。
そう思い口にする。
「ごめん、思い出した!良い映画があるの!」
私はそれから、学秀にテレビで見たその映画の予告の内容を教える。
反応を見ると良いわけでも悪いわけでもなさそうだった。いや、考え事をしているのかどこか一点を見つめているようにも見えるけど...
「じゃあそれにするか」
「わかった〜!」
「映画の事は僕が調べておく。わかったら連絡するから、そこで予定を決めよう」
「ありがとう」と言い、少し違う方を向く。
‥‥学秀ってこんな親切だったっけ?
いや、やってくれるのに失礼だ。
私は考えるのをやめた。
とはいえ...
(すごく、楽しみだな)
やっぱりそう思う事は隠せなかった。