第3章 自覚し出す心
しばらくぼーっとしていたが、学秀だけにやらせてしまっていた、という事で焦り急いで残りのパスタを入れる。
入れている最中、手にピリッとくる衝撃を感じた。思わず瞬時に手を退ける。火傷みたいだ。
「おいっ大丈夫か!?」
そう言う彼はまた心配してくれた。それを証拠に思わず手も掴んでいる勢い。
私以上に焦ってくれてる。
火傷の痛みなんかあまり気にならない。感じるのは、心が温かくなっていくような感覚だ。
どう表現すれば良いかわからないけど、この気持ちを言葉にするなら、近いのは嬉しいという事。
「全然大丈夫だよ!さ、続きやろう?」
「だが...本当に大丈夫か?」
「もうー大袈裟!気にしないで」
何回も迷惑をかけてしまって申し訳ない。けど、やっぱり心配してくれるのは嬉しかった。
それから数分待っていると、パスタは私が今までに見た事ないぐらい、程よい程度に柔らかくなっているのがわかる。
私が作った時今までずっと硬かったのは、もしかしたら茹でる時間が少なかったのではないかとわかった。
そうしていろいろ手順を教えてもらい、間違いを直していく。
それと同時に料理もできて‥お皿に盛っていく。
私が1人で作った場合のパスタと一変して美味しそうに見える。さらに学秀は盛り方にも美味しそうに見えるコツを知っていて、こだわりだそうでそれも教えてもらった。
「わあ、美味しそう!」
「じゃあ食べるか」
机に皿と何か適当にコップでも持って行き、用意をして食べてみる。
とんでもなく美味しい。
料理も美味しいけど、何より教えてもらって上手く作れた。私はその事に嬉しさを隠しきれなかった。
「学秀!本当ありがとう。助かった」
「ああ」
そういった学秀は、こちらに優しい笑みを向けた。その笑顔に胸を掴まれたような感覚になる。