第3章 自覚し出す心
学秀の見せる笑顔に動揺しながらも、何事もなかったようにナポリタンを食べ進めた。
最近わかってきた感覚。
きっと...今の私は顔が赤くなってる。
それから食べ終わり、しばらく話した後学秀が帰ると言い出したので家の前まで送る。
間違いなく言える。
そこでは私は嬉しくなっていた。
だって...学秀が、
「今日は来てよかった。お前といるとやっぱり楽しい」
なんて言ったから。
楽しかったのは私だってそう。
ううん、楽しいだけじゃない。
普段しゃべっててもわからない事を、今回はたくさん知れたのだ。
そう思うと、私は本当に嬉しくて、家に入るまでの数歩の足取りは軽くなっていた。
鼻歌まで歌い出しそうな勢いだ。
気分がとても良い。
そのまま料理の後片付けをする。
学秀は一緒に片付けると言ってくれたけど、教えてもらったのだし申し訳なくて断った。
食器やらを洗っている最中に思い出すのはさっきの事。
私に気遣って、触れる事に気をつけながらも教えてくれた。火傷の時だって、すごく心配してくれて。
学秀はとても優しい。
そういう事を考えている間に、
ふと気がついた。
学秀に触れられる事、嫌じゃなかった。むしろ...嬉しくて。離れた時は寂しいと思った。
もっと前だって...
学秀と料理を作る約束をした時、
すごく私は嬉しかった。
あの頃はまだわからなかったけれど。
私は学秀の事が‥‥
好きなのではないか。
やっとわかった。
不意に、胸がドキドキした理由が。
思えば、学秀と話をするのはずっと前から好きだった。もしかしたら、きっとあの時からーー。
私の心は、考える事をやめてくれなかった。
ようやく気がつき、
芽吹いた想いは止まらない。
私は事あるごとにずっと...
貴方が好きなんだと自覚している。