第3章 自覚し出す心
そんな業さんは学年2位。
3年生になるまであまり気にしていなかったけれど...ずっと2位は私ともう1人か、どちらかが3位になるかだった。
勉強会の時に薄々感じていたけど、業さんはすごく頭がいい。きっと、1、2年生の時もそうだったのだと思う。
数点差で負けてしまった。
尊敬しているが、悔しいと強く感じる。
次こそは‥と私は気合を入れた。
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テストが終わり、約束通り学秀に料理を教えてもらう事になった。
私の家でやることになったのだが、問題は材料。学秀は用意すると言ったけれど、それを悪いと思った私は自分で買うと断った。
日時は週末の今日。土曜日だ。
学秀はささっと腕まくりをし、洗面台で手を洗っている。
(...早い)
それに見習い、私もエプロンを着て急いで手を洗った。
終わったのでキッチンに移動すると、学秀は既に私が予め置いておいた材料を取り出している。
今回私たちが作るのは、話の通りナポリタンだ。作るのは苦手だが、好きなので嬉しい。
「...マッシュルームは?ピーマンは?」
いきなり振り向き言われ、何を言われているのかわからなかった私は思わず「え?」と聞き返す。
「ないのか?」
「あ...ない」
「...ったく。マッシュルームとピーマンが入ってないのは美味しくないぞ」
言葉から感じた拗ねたような物言い。珍しい、学秀がそういうことを言うなんて。
もしかして...と思い見るとやっぱりそうだ。
(好きなんだ)
不満げな表情から何処と無くそう感じる。
「ごめん!こだわり?好きなの?」
私の言葉を汲みとった学秀は、はっとしたような顔で恥ずかしいと言いたげだ。
「...何が悪い」
「そうなんだーへえ!」
自分でもわかるほど私はニヤニヤしてたと思う。そりゃ嬉しい。だって、学秀の事を知れたんだから。
笑っている私をみて学秀は落ち着かない様子だ。
違う。具材で笑ってるんじゃなくて、学秀で笑っているの。
言いたかったけれど...言わないことにした。