第3章 自覚し出す心
《 学秀 side 》
そんな花日をただ唖然と見つめる。
「ありがとう、ちゃんと直す!」
「‥‥ああ。」
ただ可愛いと見惚れたのもあるが...今の自分の行動で少しは反応してくれたのかと嬉しくなり、そのことに考えが集中した。
その為、半分無意識に返事をしてしまった。
考えている自分を置いて、気づいたら花日はこちらに背を向けている。
「行こう、学秀!遅れる!」
そう言い歩き出す彼女の背中を見つめ、自分も目を前に向け歩き隣に並ぶ。
ちらっと隣に目線を向けると花日の顔はやはり赤いということがわかった。
いや...そんなはずはないと思う。
この間までその辺の男に触れられても、何ともないというような顔をしていたような気がする。
きっとありえないだろう。
でも、もしやっとそういう事に気付いていてくれたら?
考えるのはやめよう。
たぶん...ない。
「じゃあ...花日、テストが終わった後、昨日言ってた料理の件教える」
「うん...ちなみに、学秀って何でも作れるの?」
「まぁほとんどは」
「じゃあ、」と花日は言葉を紡ぐ。
「何の料理教えて欲しいか...考えておく!」
この時ふと考え付いたのは何回かに渡り定期的に料理を教えるということだ。その機会を作れば、それだけきっかけは増える。
良い考えだと思い、
早速言ってみることにした。
「別に...教えるのは1回だけって決めた訳じゃないんだし、何個も決めておいていいんじゃないか?」
「何回も教えてくれるってこと?」
「花日が良いなら何回でもいい」
「そっか...!じゃあいっぱい教えてもらおーっと」
これなら、だいぶクラスは違えど機会はたくさん作れただろう。そう思い、満足したような気持ちになった。
そうして、学校に着くまで会話をしながら歩く。
そこでやっぱり思うのは、
ただ花日が好きだということだった。