第3章 自覚し出す心
《 学秀 side 》
「少し暑い」と感じながらもただそこにいるしかない。そう、今僕は花日を待っている最中だ。
朝だが、少し日射しが強い。
そう思っていると、こちらへ走ってくる花日が見えた。
昨日は...少し厄介なことになってしまった。
落ち着かない様子を見て、どうしたのか聞いてみると隠される始末だ。自分は...あの時、思った以上に不機嫌になっていた。
それをあいつも察してか、何も話さなくなり、気まずい感じになってしまった。
今回は自分が堂々としてればいい話。
僕を待たせた目の前の人は、
膝に手をつき息を弾ませている。
せっかく、花日と関われる行き帰りのチャンス...
ーー絶対に、逃しはしない。
その想いは更に強くなった。
「学秀!ごめん!遅くなっちゃって!ちょっとだけ...寝坊しちゃったの」
とは言ったものの本の数分だ。
そう思いながらも花日を見ると、あることにふと気づく。
(寝癖が...)
ぴょんと飛び出している一部の髪は、そう見て間違いない。
あまり深く考えず、
彼女の方へ近づき寝癖がついている所に手を伸ばす。
軽く頭をぽんと撫で、手を離した。
「寝癖ついてるぞ、大丈夫か?」
「う、ん...」
じーっとただこちらを見つめながら、先程自分が触ったところに手を当てている。
その様子から、考えつく。
(もしかして、今とんでもないことを?)
僕が触れてしまったから、
びっくりして呆然としてるのではないだろうか。
だとすると‥‥
まずいことをしてしまった気がする。
自分が焦っていることを感じながらも、なんといえば良いかわからず思わず固まってしまう。
考えを巡らせていると、花日が口を開いた。
花日の顔を見ると‥‥
心なしか彼女の頬が赤く染まっているように感じた。