第3章 自覚し出す心
「で、いつにするんだ?」
「えっと...そろそろテストだし、終わってからにしよう!?」
「そうか。わかった」
放課後になり、私たちは一緒に帰っている。
朝にあった事を授業中にも考えているほど、私はそれなりに混乱していたみたいだが、帰る頃になるとさすがにそれは無くなっていた。
‥‥といっても、やっぱり会うと思い出してしまう。
学秀は気づいているのかわからないが、先程からぎこちなく接してしまっている気がする。
「花日、何でそんなさっきから落ち着きがないんだ?」
「え!?そ、そう!?」
「見たらわかる。」
(やっぱり気づかれてた!)
顔を見る為、ちらっと隣に視線を向けると学秀は呆れたように「はあ...」と溜め息を吐いている。
何故そのように接してしまうのか...話した方がいいのだろうか。
いや...まずい気がする。
私自身どうしてドキドキしたりするのかわかっていないけれど、こんな事言ったって迷惑なだけだろう。
そう思い、
言わないことにした。
適当に言い訳を思いつき、話す。
「いや、そういえば課題終わらせてなかったなぁーって。明日提出だからちょっと焦っちゃうんだよね!」
「‥‥?花日らしくないな。いつも早く終わらせてるじゃないか。そんなに難しいのか?」
(なかなか鋭い!)
よく見ているなぁと呑気に思う自分の反面、先程以上に焦っている事が異常な暑さからわかる。
「ま、まあうん...難しかったの。」
「どういう問題だ?」
「わ、忘れた...」
流石にバレてしまったに違いない。
恐る恐る学秀の方を見ると、私とは違う方を向いている。顔から、気に入らないと言いたげなことが伝わってきた。
「そうか。頑張れよ」
その返事に...
心臓に刺されたかのような、鋭い痛みを感じた。
それからお互い何も話す事なく、会話もないまま途中で分かれた。