• テキストサイズ

【暗殺教室】恋をする瞬間をあなたに

第3章 自覚し出す心





「え..?」



目の前の差し出された可愛い兎のぬいぐるみを見て、困惑する。


(やっぱり本当だった...)


嬉しいけど、申し訳ない。
どうすればいいのかわからなくて、ただ業さんの目を見ることしかできない。

いや、そもそも何故ついてきてほしいと言ったのだろうか。

仮に・・・
私の為に取ってくれた、と考えてもどうしてなのか見当が全くつかないし。

無言の私をみてか、業さんは言葉を付け加える。



「あげる。欲しそうにしてたでしょ」



言葉は素っ気なさそうで、
顔を見ても無表情。

それでも、目はとても優しい。



「でも、悪いよ...」


「欲しくないの?」



思わず言葉に詰まってしまう。
欲しいかと言われれば、そりゃ可愛いから欲しいと思うだろう。

だが、言いにくい。


私が言いずらそうにしていることに、業さんは気づいているみたいだった。



「いいから。花日ちゃんにあげる為に取ったんだし。」



ここまで言われると貰わない方が失礼だろうか。そう思い、手を出した。
すると、業さんは兎のぬいぐるみを手のひらにちょこんと乗せた。



「可愛い...」



思わず声に出てしまう。
そんなことはあまり気にせず頭を撫でた。

そんな花日を業は微笑ましく見守っている。



「で、でもお金は返すよ!今ないけど...」


「いーって。気にしないで受け取って」


「ありがとう...本当に!ありがとう!」



でも、なんだか本当に申し訳ない。


(あっ!)


ならば、代わりに今度お礼に何か渡せばいい。我ながら良い案だと思う。



「じゃあ今度何か返す!それでおあいこ!」


「律儀だねぇ...まあどっちでもいいよ」



何だか共におかしくなってきて笑う。
どうしようもなく楽しい。


手に乗ってる兎に、業さんへのお礼。


今日あったことを思い出すと、今でも微笑ましくなるーー。

今日は私の特別になる日。






/ 118ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp