第3章 自覚し出す心
適当なクレーンゲームを見つけたのか、そこのボタンの近くへ行き財布を出している。
そして、中を見ると沢山の可愛い動物が転がっていて、マスコットサイズの兎のぬいぐるみもある。
(可愛い....!)
愛らしい目、耳をしている真っ白な兎。私の好みなもので、思わずじーっと見つめてしまった。
それに気づいた業は、花日の視線の先を見て狙うものを捉える。
やっと兎から目を逸らした時、気づく。止めようとしたが既に遅く、ボタンを押し業さんはクレーンを動かしていた。
お金を入れてしまったからにはどうしようもできない。
止める事もできないまま背後から取れるのか見守る。すると、クレーンで取れたものの運ばれている途中で、ぬいぐるみは落ちてしまった。
「あー...あともうちょっとかな」
落ちてしまったぬいぐるみを見つめていたが、業さんの声が聞こえ意識を戻す。
見ると、颯爽と次のコインを入れようとしていた。
「だ、だめ!多分だけど...あげようとしてない?」
「んー?気のせいでしょー」
その返答を聞き、本当なのかと疑う。
が、たまたま何が好きなのか聞いてきただけなのかもしれないし、そして偶然好きなものが被ったのかもしれないと納得した。
「なーんだ!なんかごめん、勘違いしちゃった」
業さんは笑いながらまたボタンを動かしている。
(本当...だよね?)
まだ少し考えたが、辞めることにした。
クレーンの方を見ると、バランス良く頭を掴んでいるためこれはいけそうだ、と思う。すると案の定穴の所までクレーンはぬいぐるみを掴んだまま行き、見事落ちた。
「すごーい!!!おめでとう!」
「はい。」