第3章 自覚し出す心
そうして勉強をしている内に、日は沈みかけていき気づけば時刻は5時半を差していた。
「花日!じゃあまた学校で!」
「うん、じゃあね〜!」
家へ帰る皆を見送るため、自分も一緒に家を出て手を振る。
全員の姿が見えなくなったと思い、引き返そうとすると業さんがまだいた事に気づいた。
「えっ!?帰らないの?」
「帰るよ」
「‥‥え?」
帰る、と言いながら何故皆と一緒に行かなかったのだろうか。
考えているとそういえば、と思い出す。
(近所だったっけ?)
だったら別の方向かと業さんが歩くか見てみるが一向に帰る気配はない。
「え、どうしたの?」
答えが何かと気になり彼の返事を心待ちにしていると返ってくる。
「花日ちゃん、ちょっと付いてきてほしいとこある」
歩いてしばらく。
着いたところはショッピングモールで、何処に行くかも知らされていないままエスカレーターに乗ってる状況だ。
「え、ねえどうしたの?」
「まあ、もうちょっと待ってなよ」
見た所場所からすると金銭を扱う事だろう。だが生憎出かける準備をする事もなくただ見送りに行ったものだから、財布も持っていない。
何かお金を使うような事ならば断らなければ、と思っていると業さんがエスカレーターを降りている事に気づき、慌てて自分も降りた。
そうして少し歩き、遠くからだが何があるかは見えてくる。
他のエリアよりも一層騒がしく、光がより鮮明。ゲームセンターだった。
ある程度ゲームセンターに近づいたところで業さんが後ろを向いたので質問してみる。
「どうしてゲームセンター?」
「んー...花日ちゃんって動物何が好き?」
「えっ?うーんと...兎とか?」
「おっけー」と業さんは呟くとその辺りのクレーンゲームに視線を彷徨わせる。質問はかわされたが何をする気なのかわかった気がする。