第3章 自覚し出す心
「あ、何?前原」
「お前大丈夫か?...あ、でここ教えて欲しいんだけど」
カエデに問題の解き方を教え、余裕ができたのでふとちらっと見てみる。
前原君が業さんに聞いているみたいだった。だが、少しぼーっとしていたのか何回も業さんは名前を呼ばれていたようだった。
何かあったのかと心配しながらも、業さんの説明に耳を傾けてみる。
「ふーん...なるほど。難しいな」
「慣れれば簡単だから大丈夫」
やはり前に聞いていた通り勉強ができるのだろう。説明は簡潔だ。
(...すごい)
そう思いながらも、数学の問題を解いていく。やはり...応用はまだあまり解くコツが掴めていない。その為、解き方が曖昧だ。
字を書くペンの動きが思わず止まってしまう。
ここはいつも詰まってしまうから、理解しないといけないのに...。
そう思っていると、業さんに声を掛けられ考える事を中断した。
「花日ちゃん、そんな難しいとこやってんの?」
「うん...でもちょっとよくわかんないの」
私の動きが止まったことから、わかったのだろうか。机を挟んで向こう側にいた業さんがこちらに来る。
そばに来た業さんはしばらくその問題を考えた後、基礎からしっかりわかるよう教えてくれて、問題を確実に解くための方法も教えてくれた。
やっぱり...
(すごい!)
教え方がわかりやすい。
これだと、今までは悩んでいたけれど次からは大丈夫だ。
わかってスッキリし、嬉しくなった。
「ありがとう!すごく教え方上手で、良くわかったよ」
「ううん、また何かあれば聞いて」
(わかって嬉しいのもあるけど...)
また違った一面が見れて嬉しい。
なんだろうか。
心なしか、テストでこのような問題がもし出てきたら、思い出して絶対解けるようにしようと思ったーー。