第3章 自覚し出す心
「うおっここかー!すげえ」
「花日の家って立派だね」
「うーん...そんなに広くないよ」
土曜日になり、
渚達は私の家に来ている。
挨拶をしドアを開け、入るよう促した。
「お邪魔しまーす」
「渚、部屋知ってたよね?皆先行ってて!」
そう言い、先に4人を部屋に上らせる。
この間のお礼を改めて言いたくて、言うならば今かと思い業さんを引き留めたのだ。
「この間はありがとうね!お陰で解決できた」
「ならよかった」
「今日は宜しくね!じゃあ、上がって〜」
業さんはお邪魔しますと言って私の後に続き、家の階段を上った。
だんだん部屋に近づいて来たところで騒ぎ声が聞こえる。
「花日の部屋、すごーい!なんかすごい可愛い〜」
「ほー...これが天野の部屋か。本めっちゃあるな」
先に上がっていた4人が何やら部屋の感想を言っているみたいだった。
部屋の前でそれを聞きながらも返事をし出すとキリがないと思ったので、とりあえず飲み物を何にするか聞くことにした。
「飲み物出すけど、何にする?」
渚、メグちゃん、前原君はお茶、
カエデはオレンジジュースという事になった。
そして実は、業さんには予めいちご煮オレのパックを買っていた。
・・・なんだろう。
(業さんにはいちご煮オレが似合うと思ったのかな...)
業さんはそれが好きなのだと何回か会った時に持っているのを見て思った。
それで...喜んでくれると思って事前に用意したのだ。
何故そうしたいと思ったのかはわからないけれど...
業さんに何がいいかと聞くと、「お茶で」と言っていた。が、渚達には頼まれた飲み物を出したが業さんにはいちご煮オレを出す。
「えっ...どうしたの?」
やっぱり、驚いている。
そりゃそうだと思う。
(用意してるなんて思わないもんね...)