第3章 自覚し出す心
さっきは他の人と帰りたい、なんて学秀に言った。
けれど...
きっと誘う事はあまりないと思う。
A組にいた頃はよく言い合いとかしていて...あの時はそのことに何も思っていなかったけれど。
今となってはなくなって寂しいぐらい。
だからわずかでも話せる機会があるのは嬉しい。
その機会を逃したくないのだ。
だが、先程はまた...すぐ不安に思ったことを言ってしまった。
(きっと面倒くさいだろうな...)
でも、自分が何かしてしまったのか知りたかった。何故だかすごく気になってしまう。どう思われているのか。
いつからこんな心配性になったのだろうか?
いつのまにか私はぼーっとしてしまったみたいだった。
「花日ー!おはよう!」
「‥‥あ!カエデ!おはよー」
色々と考え事をしていたので、教室に入ってきたカエデに気づくのが遅れてしまった。
「そういえば、あともうちょっとでテストじゃない?」
「あ...そうだったね」
(あんまり勉強してない...)
いつも成績で学秀に近づけることを嬉しく思っていたのに。今回は遠ざかってしまうかもしれない。
それは嫌だ。
「花日って何の教科が苦手なの?」
「んー数学以外は基本大丈夫だよ!」
「す、すごいなぁ...私なんて全然...」
ふと思い出す。
確か、2年生最後の期末テストは数学が95だった気がする。そしてきっと他の教科は98以上はいっていたはずだ。
「ううん、まだまだだよ」
他の人から聞いたのだが、カエデは3年から編入試験を通ってこの学校に転校してきたみたいだった。
その試験に受かった事がすごいと思う。
きっとカエデは謙遜してるだけなんだろうなと思いながら再び学秀の事を思い出した。