第3章 自覚し出す心
《 学秀 side 》
やっぱり鈍感なのはいつもと変わらないみたいだ。もっとはっきり言わなきゃいけないのかと、気が遠くなり思わずため息をつく。
「もうっため息つくから私不安になっちゃうんだよっ!?」
そう言った花日は怒ったような不安げのような...複雑な顔をしている。
また...やってしまった。
「違う。毎回花日の前でつくため息は別のことでだ。だから気にしないでほしい。」
「そう、なの?ごめん、いちいち小さい事で...ほんと、面倒くさいよね。」
「いや、何か感じることがあったら言ってくれ」
「そっか...わかった!」
(良かった...)
一時はどうなるかと思ったが。
目の前で満面の笑みを見せる花日を見て、問題を解決する事ができたのだと思うと共に、胸がすっと軽くなる心地がした。
だが、また顔を曇らせていて何か言いにくそうな顔をしていた。
「あのね...この間も言ったと思うんだけどっ..他の人とも帰っていいかな?」
「僕が決めることじゃない。ただ、言ってくれるだけでいい」
「わかった。じゃあそうなった時は言うね」
表情が戻っていて安心する。
そんな事を気にしていたのか。
そういえば...
この間の話では自分も一緒にという話になっていたはず。
だがよく考えてみれば、あの時は安心していたもののそんなにE組と仲良くない僕がいても邪魔なだけだろう。
このまま言う必要はないと思い、話さなかった。
ふとあることを思い出し、
公園の中にある時計に目を向ける。
やっぱり...
つられて花日も見たようだ。
「花日!急ぐぞ」
「うん!」
少し早めに足を進める。
その隣を花日が歩いている。
そのせいか、今日の足どりは
何だか軽い気がしたーー。