第3章 自覚し出す心
《 学秀side 》
「この間は急に変な事言っちゃって...ごめん!」
朝、約束していた公園で響く声。
目の前には頭を下げている花日がいる。
昨夜、メールで『あの公園で話がしたいからいつもの時間より10分前に来て欲しい』と花日から着信があったのだ。
そしてこうして今謝られている。
‥‥本当は、自分が悪いのに。
「いや...あれは僕のせいだ。すまない。」
「ううん。実はね、寂しかったの。」
花日を見ると、あの時と同じ...また俯いている。申し訳無さそうに。
違う、そんな顔をさせたいんじゃない。
そして彼女はまた口を開いた。
「ごめん...元々しゃべるの好きじゃないのかな...?そんな事も知らずにーー」
「違う。その...花日と行き帰りするのは嫌じゃないし、...しゃべるのが嫌いなわけでもない」
遮ってでも伝えなければいけないと思った。不器用な自分なりの、精一杯の言葉で。
きょとんとした顔をしながら自分を見つめてくる花日。
やっぱり...言葉が足りなかったか?
どうも花日の前だとすぐ出てこない。
隠しておくつもりだったが、言わなきゃ伝わらない。緊張でか暑くなっているのを自覚しながら、正直に話す。
「クラスが違うから...もう、話す機会がなくなると思った。だから...」
「...それで、誘ってくれたの?」
嬉しいのか、あるいは...
引いてしまったか。
一体どういう思いでこちらを見ているのだろう。無性に気になった。
「そんな風に思ってくれてたんだね。 ...私も実は、誘われた時すごく嬉しかったの。」
「...そうだったのか?」
「うん!心細かったから...」
(そうか...)
心の底から、良かったと思った瞬間だった。
だが...何故自分が誘ったかというのは言ったはずだが、本当の意味は伝わっていない気がする。