第1章 始業の時
「よくそんなことして…平気でいられるね?」
「…なんだと?」
もう前とは違う。
何も怖くない。
そう思ってるはずなのに、心から怯えは消えていなかった。
じりじりと詰め寄ってくる人たち。
思わず目を瞑ると。
「高貴なる僕たちが、E組ごときをいじめる必要はないんじゃないかな?」
聞きなれた声が、背後から聞こえてきた。
足音ともに声は近くなっていく。
声がした方には、学秀がいた。
「学秀?」
思わず出した私の声を無視し、続いて男子生徒に話しかける。
「放っておいたって、僕たちは良い思いをする。これ以上やったら、かわいそうだろう?」
なんだろう、嫌味に聞こえるが・・・
止めようとしてくれてるの・・かな?
ちょっとバカにもしてる気もするけど。
私の後ろにいるので学秀の顔はわからないが、男子生徒たちは学秀を見た途端、顔色を変えた。
「お、おう…そ、そうだな!」
そう言って、逃げるようにそそくさと去っていった。
学秀はそれを見送った後、私たちの方を再度見る。
「お前はいつも無茶するな?」
「だって...こんなのっおかしいよ...。」
学秀ならなんとかしてくれるかもしれない。
そう思って、訴えてみるが、返ってきたのは悲しい一言だった。