第1章 始業の時
「渚が何をしたのっ!?何も悪いことしてないじゃない!」
「花日...」
渚は私をぼーっと見つめている。
一刻もそういうことはやめてほしい。
そう思っていると、
「お前、あんまりE組の味方はしない方がいいと思うぜ?」
という声が聞こえる。
そんなくだらない忠告を私は無視した。
絶対、絶対にこんなのは間違っている。
実際、E組の生徒がいじめられてるところを見たのは2年間のうち、何度かある。
その時の私は、まだ弱かった。
だから、助けられなかった。
いじめられてぼろぼろな服と体の人と目が合ったときなんかは、急いでそらしたりなんかした。
きっと、今思えばその人からは、見て見ぬ振りをする私もいじめに加担していると思われていただろう。
それでも、自分が傷つくのが嫌で、
『私はやっていない』
『私も本当は反対している』
という風に自分を守る為、自己満足として理由を飾った。
ここはそういうところなんだ、仕方がない。
そう納得している自分と、
本当は助けてあげたい。
今の状況に納得をしていない自分が2人いた。
私の中に眠る本当の心をずっと隠し続けていた。
(でも、もうーー)
それもおしまいだ。
もう、そんなことはやめよう。
自分を守るなんて、そこら辺の差別をしている人たちと同じだ。